連載 福祉テクノロジー12の課題①:利益の実現に向けた課題
前回:連載【第1回】福祉テクノロジー導入に関する12の課題と解決策
望ましい利益を実現するための組織的要件が事業計画に反映されることはあまりにも少なく、その結果、必要コストを見落としていたり、収支が改善するまでに十分な時間を設けていなかったり、失敗の余地のない計画に陥っていたりします。
加えて、経済的利益だけに着目し、労働環境やサービスの質、QOL(生活の質)等を見落とした狭い視点に陥りがちです。
これらの項目を評価と文書化はより複雑であるため、事業計画に含めることは困難です。
また、自治体の財源のどこに投資し、どこで利益を得るかが異なることが多いため、実現した利益の概要を把握することは困難です。
この課題に対して、組織体制・社会的要因・マネジメントの3つの観点から下記のような対策が考えられます。
組織体制
A:体系的な評価
福祉テクノロジーの導入プロジェクトが完全に実施され、その恩恵を受けていることを確認するために、より体系的なモニタリングと評価を行う必要があります。そのためには、新しいフォローアップツール・評価手法を確立することが必要です。
B:利益の概念を明確にする
福祉テクノロジーを使った経営改善の効果を業務改革、労働環境、病気・事故予防等の観点から評価できるように、利益の概念を広い視野で捉えなければなりません。
C:模範的事例を広める
福祉テクノロジーが利用者や職員に好影響を与えたエピソードは経営者や政治家にも広めて伝えなければならない。
D:大きなテーマとして取り上げる
福祉テクノロジーの価値と効果を重要な議題として取り上げるべきです。
E:実装担当者の採用
福祉テクノロジーの現場での導入をきちんとフォローでき、導入から運用に至るまでのワークフローを適宜見直すことができるような、専任の実装担当者を任命する必要があります。
社会的要因
F:情報共有データベースの強化
福祉テクノロジーメーカーに協力を要請し、経営改善をサポートするためのデータ・指標をまとめたより使いやすいデータベースを整備する必要があります。
G:一般的ビジネスケース(経営改善プラン)の形成
国内で広く応用可能な福祉機器を活用したビジネスケースの開発と共有を行うべきです。
マネジメント
H:中間管理者・現場責任者への教育
経営改善の実現のために何をすれば良いか、全ての経営者と中間管理職が経営改善への取り組み方に関する知識を持っている必要があります。
参照:12 UDFORDRINGER I FORBINDELSE MED VELFÆRDSTEKNOLOGI OG LØSNINGSFORSLAG : https://www.kl.dk/nyhed/2018/januar/kortlaegning-af-barrierer-og-udfordringer-i-arbejdet-med-velfaerdsteknologi/
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