【福祉機器の販売戦略】ユーザーに届く情報発信・販売チャネルの考え方
電動車椅子などの移動機器、高齢者の見守り支援機器、離床を補助するベッドなど、多種多様な福祉機器が日本で製品化されています。
しかし、果たして製品化された福祉機器は、ユーザーに認知されているのでしょうか。例えば最新の電動車椅子ならば、既存の車椅子ユーザーに情報が届いているのでしょうか。
本記事では、弊社が考える「福祉機器の情報発信・販売チャネルの改善策」についてご説明します。
【目次】
介護、リハ、福祉業界には内的な情報共有や改善の仕組みが不足している
良い製品や方法が見つかっても、業界内で情報が共有されない
ユーザーの日常生活の中での情報発信を
まとめ
福祉事業者、福祉機器メーカーへのインタビューを踏まえた考察をお届けします。
業界内における情報共有や改善の仕組みの不足
複数の福祉事業者とお話しして感じたことは、福祉業界全体に内的な情報共有や改善の仕組みが不足しているということです。これは福祉機器の利用に限った話ではありません。福祉事業そのものが、公的な補助を受けて提供されるサービスであるが故の競争・淘汰の不足が一因であると考えられます。
もちろん、個々の事業者・専門職によっては、独自に新しい取り組みをしたり、テクノロジーを利用したりしているところもありますが、そのような事例が他の事業者に展開されるような仕組みが整っておりません。
事業者間で知識の共有化が進まないと、各事業者が同じ失敗を繰り返してしまいます。また、良い成果を挙げた新しい取り組みがあっても、それ自体が認知されないため、業界全体の底上げにつながらないという問題もあります。
良い製品や方法が見つかっても、業界内で情報が共有されない
上記の特性により、業界向けに新たな福祉機器が提案されたとしても、ユーザー自身による情報発信と共有が行われないため、より良いやり方や製品があったとしても普及に至らないと考えられます。
障害者向けの自立支援機器でも同じ状況です。
同じ障害を持つ人々と医学的な特性で人々をグループ分けしたとしても、彼ら自身が交流・情報共有を行っていないため、個人がどんな機器を選ぶかは担当した専門職・業者・制度に任せるしかありません。
ユーザーの日常生活の中での情報発信を
また、肝心の商品の情報がユーザーに届いていないという問題もあります。現状、新たな福祉機器が開発されると、専門メディアで取り上げられたのち、展示会でお披露目されるという流れを辿ります。
しかし、ここが大きなポイントなのですが、業界紙や専門的なイベントなどに、一般消費者は興味はありません。
また専門職も業界向けメディアはごく一部しか見ていません。これは障害者や高齢者も同じです。彼らは自分の「障害が関連する部分」や「年齢が関連する部分」のみに限定して情報収集や意思決定を行っているわけではありません。一市民、一消費者として日々の行動の中で情報に触れ、欲しいと思うものを選択しています。
福祉機器の情報をユーザーに届けるためには、専門的な媒体での情報発信ではなく、彼らの日常生活のチャンネルでの情報発信が必要なのです。
まとめ
・ある事業者が新しいやり方を考案したり、業界向けに新たな製品が提案されたとしても、ユーザー自身による情報発信と共有が行われないため、より良いやり方や製品があったとしても普及に至らない
・一般消費者は専門的な媒体を見ていない。彼らが普段目にする場所に情報を流さなくてはならない
・福祉専門職・障害者・高齢者を特殊なユーザーとして捉えるのではなく、ニッチなニーズを抱える一般消費者として捉えると課題や解決策が見えてくる
ヤマグチでは、メーカー向けに福祉機器の販売支援を行っております。ご興味のある方はこちらのページをご覧ください。